平成29年10月

「秋のセミの声と虫の声」

 不順な天候が続いた今年の夏。暑い日が例年より少なく、セミの声もいつもの元気さが感じられないなと思ったのは、私ばかりではないのでは。
 日中は誰しも仕事に追われて、セミの鳴き声を楽しむ余裕などない中にあって、私の場合は、日課の愛犬「ハナ」の散歩時に、夕暮れどきのセミの鳴き声を聞くのも楽しみの一つであった。例年、夏の暑さの中で、アブラゼミ、ミンミンゼミの鳴き声のウルサさに辟易し、ヒグラシの物悲しさに心惹かれたものだが、今年はいつもの年と違って、少し物足りなさを感じたし、特にツクツクボウシの鳴き声が例年の半分程度しか聞かれなかったような気がしてならない。夏の終りを迎える頃から9月のいつの時点まで、ツクツクボウシの鳴き声を耳にすることが出来るだろうと気にかけ、夕暮れどきに一旦帰宅した際には、必ず自宅裏手の木立の前で耳を澄ませるのを常としており、9月18日に耳にしたのが、どうやら今年のツクツクボウシの鳴き納めの日だったと記憶している。
 そこで気になったことが一つある。では、一体いつ頃までセミは鳴いているのかということを。調べてみた。
 調査年、調査場所によって多少のズレはあるのだろうが、アブラゼミは、東京都で11月13日、ツクツクボウシは、埼玉県で11月10日に鳴き声を観測したとの報告もあり、中には、11月の神奈川県で、冠雪した富士山をバックにアブラゼミの鳴き声を観測したとのユニークな報告もされている。いずれにしても、当地方での11月の観測は現実的ではないにせよ、9月は勿論、もしかしたら、10月にセミの鳴き声を聞くことは、珍しくないかもしれないと思うようになった。この後も、注意しながら耳を澄ましてみようと考えている。
 さて、次は秋の話題を二つ。そよりと秋風が吹き秋到来と思っていたら、そよりどころか、昨日の話題は台風18号一色。当地方を直撃することなく無事日本海を猛スピードで北上し一安心。しかし、北上に伴って強風が夜明け前から当地方を襲い、安眠を妨げたが、大きな被害の報告もなく何よりだ。秋といえば、台風。秋の象徴である台風が一件でも少ないことを願うばかりだ。また、秋といえば「秋の夜長」。秋の夜長に、過日、或る本を読んだ。本の中に秋の語源に
ついて記されていた。漢字の「秋(シュウ)」ではなく、カナ文字の「アキ」の語源について、実に興味深いことが記されていた。
 「アキ」の語源の由来は諸説ある。
 まずは、「あか(紅・赤)」に由来する説
 ~秋になるとヤマト国の日本列島は、「赤トンボ(蜻蛉)」がウジャウジャに飛び交っていた。そこで、ヤマト国には「アキツシマ(秋津島)」の異名がついた説。赤いといえば、秋を彩る山野には、カエデ(楓)、ウルシ(漆)、ナナカマド(七竈)などの木の葉が紅葉し、カキ(柿)、ザクロ(石榴)などの木の実が赤く熟す。これらの紅・赤が転じて「アキ」とする説。
 次に、「あく(飽く、飽和する)」に由来する説
 ~イネ(禾・稲)、ムギ(大麦)、アワ(粟)、ヒエ(稗)、豆、イモなどの穀物が飽き満ちる=豊かに実る。また、稲が成熟することを「アカリ(黄熟)」とも言うことに由来するという説。
 そして、三つ目には、「あきらか(清明)」に由来する説
 ~秋の空は、遠く、何処までも青く澄み、白い雲が天高く見える。すじ雲、いわし雲、うろこ雲、等々。このようにあきらかに、清らかにという説。
 このように、「秋(アキ)」の由来を知ることで、私自身も、あらためて、秋が好きということも納得できたし、先人の知恵、先人の自然に対する思いの深さに触れることが出来た気がしている。
 そして、次は、「秋の声」の話題。
 ところで、皆さんは9月12日の、虫の鳴き声についてのTV放送をご覧になりましたか。マツコ・デラックス出演の「マツコの知らない世界」という番組の中で、「虫の音の世界」を紹介した番組です。その番組のゲスト、自称、「365日鳴く虫と暮す男」、後藤啓氏の虫の解説が実に面白かったので、少しこの番組の内容に触れてみます。後藤氏によれば、虫の音を愛でる習慣は、平安時代まで遡るという。実に1200~1300年前から「虫の音」を貴族が楽しんでいたという位、歴史の古い趣味であったこと。また、日本に生息する鳴く虫は、200種類以上いると話されたときは、素直に驚いた。また、後藤氏によれば、虫の鳴き方にも様々な習性があり、それぞれの虫の集団には、音を奏でるリーダーというか指揮者がいて、音を出す順番があるなど、一定のルールというか、役割などがあり、中には音を奏でることをサボル虫がいたりとか、実に不思議な虫の生態を知るにつけ、もっぱら秋の夜長を散歩にて楽しむ私にとっては、また一つ楽しみが増えたようで嬉しく思えた。
 このTV放送以来、とりわけ耳を澄まし、虫の鳴き声= 音色に注意しながら、散歩路を歩いてはいるものの、現実的には、虫の音色、例えばコオロギの「リーリーリー」位ははっきりと聞き取れるが、その他の、スズムシ、マツムシ等の鳴き声は小さいせいもあり、その音色を判別するのには、一匹ならまだしも、「秋の六重奏」と言われるように、実に多くの虫が一斉に鳴いていてはそれらの虫の声がかき消されお手上げだ。
 でも、「飽きアキ」する位に、虫の声で、日本の秋の情緒を満喫出来ることに大いに感謝し、台風一過の今夜の散歩も楽しんだ。
 日本の四季を彩るこの素晴らしい自然と生き物に感謝しつつ、この環境をいつまでも守り、維持していくことを祈り願いながら今月の私のひと言とする。

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