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町政情報

平成25年12月

「自然災害と向き合って」

空は晴れてはいるものの、木陰に少し身を移すと風が冷たく寒さを感じるこの季節。朝早く起き戸外に出ると、朝モヤというか細かな霧状の朝時雨が出迎え、濡れた地ベタを目にする日が続く。木枯らしはまだゝといったところだが、秋から冬にかけての初冬の時雨は、日本の四季の移ろいを象徴する雨だ。古来より日本人は、11月から12月にかけてのこの時期特有の風情を受け入れ楽しんで来た。

雨の書き出しにしたのには理由がある。今年は例年になく雨に翻弄されたからだ。6月の梅雨時は、まとまった雨が降らず小雨の日々。雨が足らず、矢吹ヶ原の水ガメの羽鳥湖が渇水状態になり、慈雨を待つ日々が続き、大いに気を揉んだ。さらに、10月15日から16日にかけて日本列島を襲った台風26号の猛威は、全国各地に大きな爪痕を残した。その雨たるや「篠突く雨」の形容をはるかに上回り、しかも、この台風により、かつてない規模の被害が伊豆大島で起きた。三原山の山肌が広範囲に亘り崩落し、想像を超える量の土砂が家を、人を呑み込んだのだ。不幸にも亡くなられた大勢の方々に対し、心からご冥福をお祈りするとともに、被災された伊豆大島の皆様に心からお見舞いを申し上げる。

しかし、よくよく考えてみれば、今回の大惨事は他人事ではなく、まかり間違えば、私たちのふるさと矢吹に降り懸かっても決して不思議ではないということも、心に留め置かねばならない。かつて、私たちの町は、風水害の大きな被害も、大地震もなかった。自然災害の少ない住みよい町だと、誰もがそう思っていた。あの日までは。しかし、千年に1度の大地震“東日本大震災”が当町を襲った。そして、度重なる台風の襲来。TV、新聞の報道によれば10年に1度の大型で、強い風と想定を超える「今までに体験したことのない雨量」の台風だと言う。どうやら私たちは覚悟しなければならない。自分の身を守る為にも、こうした災害がいつ、どこにでも起き得ることなのだと。

思い出せば今年の夏も様子がおかしかった。異常に暑かった。8月には、これまでの最高気温40.9 度を塗り替え41.0度を高知県で記録した。夏の天候を左右する高気圧の張り出しが非常に強く、長く日本を覆ったことが原因と専門家は分析する。この夏の猛暑こそが、この秋の異常な台風発生の伏線だったのかもしれないと、ふと考えた。

異常と言えば、竜巻の発生も新たな脅威だ。私たちの身近な場所で、次々と発生したからだ。突風といった自然現象の意識は元々日本人として持ち得てはいたものの、今になってこの日本に何故との思いは強い。竜巻と言えば、アメリカなど広大な土地特有の異常な自然現象との思いを抱いていた方が殆どではないかと思う。竜巻が、私たちの生活を脅かす新たな異常現象の一つとして加わったことを、私たちは強く意識し警戒しなければならない。

いずれにしても、二度とあってはならない大地震の備えは勿論のこと、益々増えると予想される「かつて経験したことのない」台風・長雨によるゲリラ豪雨や竜巻にも備えなければならないし、繰り返しになるが、異常気象がもたらす、こうした大規模災害は、もはや避けられないということを肝に銘じなければならないのだ。

今年は大災害が全国各地で発生した。これら自然の猛威は、こうも受け止めることが出来る。私たちは、日々暮らしの中で自然の恵みを享受してきた。自然は私たちに多くのものをもたらしてきたが、反面多くの戒めと教訓を与えてもきた。今、私たちはそれを忘れつつあるのではないかということを。しかし、先人達は、決して忘れることはなかった。生活の一部として当然のこととして、受け入れていたからだと思う。自然の成りたちを見守り、自然の存在と、その事象を「神」として、畏敬の念を抱き崇めてきたからに他ならない。

私たちは、これから次々と降り懸かるであろうこれら災難を教訓として、確かな対応策として、災害の緩和策、防止策、そして適応策を練らねばならない。

繰り返し言う。現代に生きる私たちは、先人達に学ばねばならない。「雨塊(つちくれ)を破らず」のいわれを信じ、「疾風に勁草を知る」の心構えをもって、雨、風の有難さと、雨、風とうまくつき合っていくこと、そして忘れないことを。新しい年を迎えるにあたって、今年最後のひと言とする。

矢吹町長 野崎 吉郎

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