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平成29年5月

「イソップ物語の教訓」

 今月の私のひと言は、「イソップ物語」についてのお話しです。或る本屋にて、私はこんなタイトルに惹かれて本を手に取りました。河出文庫出版「ヘタな人生論よりイソップ物語(植西 聰著)」です。「イソップ物語」は、皆さんも小さい頃から何度も目にし、読まれたことと思います。私も小さい頃、「アリとキリギリス」、「ウサギとカメ」、「北風と太陽」等々、絵本等で見た記憶があります。このように、誰もが知っている物語の他にも、全400編の物語があるというから驚きです。 そもそも「イソップ物語」の誕生は古く、紀元前600年頃、ギリシャ国のイソップが書き著したもので、当時の社会情勢の風刺を、動物に例え、まとめあげられたのが「イソップ物語」の誕生につながったとされています。
 物語の一つひとつの話しは短く、子どもにもよく理解できるような単純なものばかりで、その教えは、素直に読めば、「ウソをつかない」、「人にやさしくする」、「コツコツ努力する」等々、人間として当り前のことをすれば、必ず報われるという教え導く話しが殆どです。しかし、この本では、「イソップ物語」を筆者の独自の視点で、今までの解釈をガラリと変えた教訓を導き出してくれています。また、この本に紹介されている「71の話」のなかで筆者は、このようにも話しをされています。「ここに紹介する物語は、成功のノウハウだけでなく、すべての人が生きていく上で知らなければならない"真理"が詰っている。」と。そして、「人生で大切なことはみんな『イソップ物語』が教えてくれている。」と話されています。
 折角の機会ですから、"人生の真理"が詰った、そんな物語を何編か紹介してみます。
 まず、この話から。〜夢や希望を持たない人は幸せになれない物語。
○神とツボ「ある時、神様は、この世に存在する全ての"善"をかき集め、ツボに入れて、フタをした。そして、『絶対にフタをあけてはならぬぞ』といいながら、ある男にツボを預けた。ところが、その男は、ツボの中に何が入っているかを知りたくてたまらなくなり、少しだけフタをあけてのぞき込みました。するとその中に入っていた"善"は、次から次へと隙間から出ていってしまいました。あわてて男がフタをすると、かろうじて残ったのが"希望"でした。でも唯一残ったのが"希望"だったことは、人々にとっては救いでした。出ていった"善"がいつかは帰ってくると、人々の励みになったからです。」。筆者は、「希望さえ捨てなければ(持っていれば)、幸せが必ず戻ってくる。」「希望は神様が約束してくれている"人生の真理"だ。」と言っています。
 次の話は、〜世の中の流れを見て、生きる勉強を怠けるなという物語。
○子牛と老牛「あるところに野原に放し飼いにされて、のんびりとくらしている子牛がいました。その近くでは、汗と土にまみれながら、畑を耕している老牛がいます。子牛は、畑で働かされている老牛の大変な様子を見るたびに、自分がのんびりとした境遇で生活できてよかったと思いました。ところが、秋の村祭りの日、ずっと辛い仕事に耐えてきた老牛が、縄を解かれ自由の身になれたのです。いっぽうのんびりと暮らしてきた子牛は、祭りの生贄になるため連れていかれました。この様子を見た老牛は、心のなかでこう思いました。『子牛が仕事もさせられずに大事に育てられたのは、生贄として神に捧げられるためだったからだ。逆に自分はずっと働かされ、大変な思いをしたが、ついに解放されて自由の身になることができた。本当にありがたいことだ。』」。
 この話を通し、筆者は「激動の時代を生き抜く為には、先見の明を養い、時代の変化や情勢の変化に敏感になり、適応力を身につけておく必要がある。」といい、この物語に登場する子牛でいえば、老牛と比較して、「自分の境遇に満足することなく、もっと先、すなわち、自分の行く末を案じ、生贄にされる危険を察知でき、事前に対処策(逃亡)を講じることができたかもしれない。」と話しています。
 次の話しは、〜天は見ていないようで、あなたのことを見ているという物語。
○ヤギとヤギ飼い「昼寝をしていて寝過ごしてしまったヤギ飼いが、あわてて放していたヤギたちをオリに戻そうと呼び寄せました。しかし、数頭のヤギが草を食べたりグズグズしていて、ヤギ飼いのいうことを聞きません。腹を立てたヤギ飼いは石を投げつけました。すると偶然にも一頭のヤギのツノに当って折れてしまいました。びっくりしたヤギ飼いは、そのヤギに向かって、こう懇願しました。『ごめん。痛くなかったかい?このことはご主人様に内緒にしてほしいんだ。そんなことが知られたら、ボクはどんな仕打ちを受けるかわから ない。それにボクは、キミのツノを折るつもりなんてまったくなかったんだからね。』。 するとそのヤギがいいました。『ボクが黙っていたって、この折れたツノを見ればキミの 不注意を隠すことなんてできるわけないさ。』」。
 この話を逆説的にとらえれば、「天はキチンとあなたを見ている。だから、正しい行いをしていれば、いつかかならず成功や飛躍、発展といったプラスの方向に人生を導いてくれる。逆に正しい行いをしなければ、失敗や失望、挫折といったマイナスの方向に人生が傾いてしまう。」と話しています。
 さて、皆さんここまで読み終えていかがでしたか。できれば、もっと色んな物語を紹 介したかったのですが、誌面に限りがありこれ以上は紹介出来ないのが残念です。
 いずれにしても、「イソップ物語」が、こんなにも奥が深い「大人の童話」とは意外でした。自分への戒しめも含め、この「イソップ物語」から人生の大切な"真理"を学び続 けていくことを心に決め、今月の私のひと言といたします。

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