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町政情報

平成29年8月

まちづくりについての「意見書」

 先月7月13日に、矢吹駅周辺地区都市再生整備計画事業、及び、道の駅推進事業の再検討を行う事への賛否を問う住民投票条例案(以下「住民投票条例案」という。)を議題にした矢吹町臨時議会が開催されました。議員の判断により、住民投票条例案に対し、「反対」の議決がなされたことは、ご案内の通りであります。しかし、多くの町民が住民投票条例案に、賛意を示し、議会においても、両事業に対し、「説明不足」の意見が示されました。私としましても、多くの署名を頂いた町民の思いを重く受け止めると共に説明責任を果たさなければならないと強く感じたところであります。
 従いましては、改めて、今一度両事業について、計画の背景、必要性、また、計画策定までの経過そして事業の成果等について、議会でも説明させて頂いた「意見書」を基に書き進め、説明してまいりたいと思います。
はじめに、
1.矢吹駅周辺地区都市再生整備計画事業及び道の駅推進事業の必要性
⑴震災以前以上のまちづくりを目指す「復興」に向けてでありますが、平成23年3月11日の東日本大震災の発災から6年4ヶ月が経過いたしました。当時を今一度思い起こすと、改めて、本町は悲しく厳しい状況であったと強く感じております。
 しかしながら、全町民あげての復旧を進めた結果、概ね3年間で復旧は終了することができました。
 この間、平成24年3月には早期の復旧・復興を目指すため、10年間を計画期間とする 「矢吹町復興計画」を策定し全力を傾注してまいりました。平成23年度から3年間を「復 旧期」、平成26年度から4年間を「復興期」、平成30年度から3年間を「発展期」として、現在も各種事業に取り組んでいるところであります。
 ご案内のように、「復興計画」は総合計画を補完し、「震災以前以上のまちづくりを目指すこと」としておりますが、今年度は復興期の最終年度にあたり、新たなステージとなる発展期に向けさらなる事業の展開を目指すものであります。
 また、復興計画ではご案内の通り、復興を確実かつ早期に実現するため、「農地部門を最優先とした震災からの復旧」、「除染計画に基づく町内全域の除染」、「原子力損害賠償分紛争審査会において決定された中間指針の撤回」、「中心市街地復興・街づくり推進事業を中心とする復興へ向けた取り組み」、「防災体制の再構築」の5つを「最重点課題」として位置づけ、スピード感を持って取組んでまいりました。
 現在は、本町復興の命運を左右すると言っても過言ではない中心市街地の復興に向け、全力を傾注しているところであります。これまで、災害公営住宅、及び第1区自治会館
の整備、大正ロマンの館の利活用など復興に向けた基盤づくりが着実に進められており
ます。
 このように、本町が目指す「復興」は、「震災以前以上のまちづくり」であり「新たな矢吹町の創生」であります。町民の皆様に新たな矢吹町を実感していただき、町全体の活性化を目指すのが、「矢吹駅周辺地区都市再生整備計画事業」であり、「道の駅推進事業」であり、「旧総合運動公園用地利活用事業」であり、「第6次矢吹町まちづくり総合計画」に三大プロジェクトと位置付けたこれらの事業であります。
 次に、
⑵町民ニーズの適確な把握と計画等への位置付けでありますが、復興に向けて、これま で取組んできた計画等を説明させていただきます。
 平成24年1月に「震災復興に関するアンケート調査」を実施し「矢吹町復興計画」を 策定いたしました。
 また、復興はもとより、矢吹町の特徴を最大限に活かし、魅力あるまちづくりを行うた
め、平成26年4月には「矢吹町の将来計画と復興に関する住民アンケート調査」を実施し「未来を拓く日本三大開拓地 さわやかな田園のまち・やぶき」を将来像に掲げ、「第6次矢吹町まちづくり総合計画」を平成28年3月に策定いたしました。
 そして、我が国においては人口減少問題が大きな課題となっており、その対策が急務となります。地域の特色を活かしたまちづくり「地方創生」を目指しており、それらの取り組みの良し悪しにより、今後の地方自治体の命運が大きく左右されるものと考えております。本町においては、これらの課題の解決を図り、持続可能なまちづくりを目指すため、平成27
年6月に「地方創生に関するアンケート調査」を実施し、平成27年10月には「矢吹町まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」及び「矢吹町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定したところであります。
 震災以降に実施したアンケート調査では、共通する住民ニーズとして、「雇用の創出」、「中心市街地の活性化」、「基幹産業である農業の振興」の割合が非常に高く、それぞれの計画において重点的な事業の推進に努めているところであります。
 また、近年、本町の東側地域においては、住宅、アパート等の建設並びに大型店舗等の進出が進み、人口・世帯数が年々増加しております。一方、中心市街地を含む西側地域においては、各種店舗の閉鎖をはじめ人口減少が大きな課題となっております。
 嘗て、中心市街地は奥州街道の宿場町として、これまで 「町の顔」として発展してまいりました。しかし、役場をはじめ、公共施設等の移転及び大型商業施設等の東側地域への進出等により、地域発展のバランスが崩れ始めました。このような状況は、小学校の児童数に顕著に現れており、平成29年度の矢吹小学校の児童数225名に対し、善郷小学校の児童数は429名と、その差は大変大きくなっております。
 このような状況の下、平成24年5月17日、町議会に対して西側地域の開発を望む新町 地区地権者会から「新町エリアの開発計画の促進に関する陳情」が提出され、議会の採択を受けたところであります。また、西側地域は、貴重な歴史的な財産である三十三観音史跡公園、袖が城跡、隈戸川河川改修の際に整備された河川公園やサイクリングロードなどの観光資源も充実した田園風景が広がる自然の豊さと暮らしが調和する里山として、多くの町民に親しまれている地域であり、この西側地域の開発により、東西地域の均衡ある発展を望む声が多く寄せられております。
 このように、西側地域の開発は、多くの町民の皆様の長年の夢であり、町といたしましては、東西地域のバランスある発展を目指し、計画的な各種施策の推進に努めているところであります。
⑶矢吹駅周辺地区都市再生整備計画事業及び道の駅推進事業の検討経過
 本町の中心市街地である奥州街道沿いJR矢吹駅周辺は、東日本大震災の被害が最も大きな地域であり、震災以降、中心市街地復興に関する様々な提言がなされました。
 平成24年7月には、東京大学生産技術研究所と矢吹町において「震災復旧及び復興に向けた連携・協力に関する覚書」を締結し、町職員、矢吹町中心市街地復興協議会、及び関係団体の皆様で構成する「合同会議」を定期的に開催したほか、多くの町民の皆様の意見を反映させるため、各種ワークショップ等を開催しながら、平成26年2月に「矢吹町中心市街地復興計画」を策定したところであります。
 本計画を基に、平成27年1月「矢吹駅周辺地区都市再生整備計画」を策定し、複合施設やポケットパーク整備等の事業採択を受けたところであります。
 採択を受けた社会資本整備総合交付金につきましては、従来の補助金よりも市町村の自主性、裁量性が大幅に向上したものであり、地域住民の生活の質の向上と地域経済・社会の活性化を図ることを目的に創設された制度であります。
 これまでの複合施設整備に係る検討経過といたしましては、平成28年9月に「(仮称)矢吹町複合施設基本構想」を策定し、図書館や公民館、子育て支援機能を併せ持つ施設として、町民の皆様の利便性向上を図るとともに、新たな事業の展開や新しい町民ネットワークの構築を目指すものであります。
 本基本構想に基づき、平成28年12月には、図書館や中央公民館の関連サークル団体等 を対象とした説明会を開催するとともに、利用者向けのアンケート調査も実施したところであり、多くのご意見・ご要望等をいただいております。
 現在は、平成29年1月に設置した「(仮称)矢吹町複合施設整備検討委員会」において、「基本計画」の策定作業が進められております。
 複合施設整備にあたっては、現在検討している「基本計画」が大変重要となることから、今後も十分な検討を行うとともに、さらに多くの町民の皆様のご意見等を集約するため町民説明会、また、アンケート調査を実施し、中心市街地の賑わい創出はもとより、多くの方が快適に利用し愛される施設となるよう十分に検討してまいりたいと考えております。
 次に、道の駅推進事業についてであります。
 東日本大震災以降、人口減少が大きな課題として浮き彫りとなり、矢吹町の人口は、震災以前の平成22年国勢調査時18,407人に対し、震災後の平成27年国勢調査では17,370人と1,037人減少しております。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、このまま人口が減少していくと、2060年には矢吹町の人口は11,694人となり、地域が大きく縮小することが予測されております。
 町といたしましては、平成27年10月に「矢吹町まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」及び「矢吹町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、将来を見据えた長期的な視点にたち戦略的な人口減少対策を推進しているところであります。
 中でも道の駅推進事業につきましては、「矢吹町まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本方針である「矢吹町における安定した雇用の創出」や「矢吹町への交流・流入人口の増加」に資する効果的な事業であり、本町の強みである交通の優位性を生かし、町の魅力を高め、多様な農業経営を支援し、若者の定住促進、雇用の場の確保、観光地等の情報発信、町内外の人達との交流の場づくりを行うものであります。
 具体的には、平成27年度は地方創生先行型交付金の採択を受け、「(仮称)道の駅やぶき検討委員会」を設置し、平成28年3月に「(仮称)道の駅「やぶき」基本構想及び基本計画」を策定いたしました。また、平成28年度は地方創生加速化交付金の採択を受け、「道の駅やぶき地域協議会」を設立し、平成29年3月に「(仮称)道の駅「やぶき」実施計画及び地域商社設立基本計画」を策定したところであります。
 本町で進める道の駅事業は、矢吹の魅力を発信する道の駅、人と人、人と町が交流することにより町の賑わいを創出する道の駅、国道4号利用者等への安全・安心と憩いの道の駅として、「食へのこだわり」、「フロンティア支援」、「町民集いの場」、「農を体感」の理念のもと、町民の皆様がスクラムを組み、矢吹総動員で、町全体が明るく元気で、幸せを実感できる道の駅を目指してまいりたいと考えております。
 なお、これらの事業に対しましては、多くの皆様からさらなる事業推進の要望書をいただいております。複合施設整備の地元行政区である2区自治会の皆様、現在の中央公民館及び図書館の設置場所である5区自治会の皆様、さらには、中心市街地の核となる矢吹町商工会、本町の基幹産業である農業の核となる東西しらかわ農業協同組合及び夢みなみ農業協同組合の皆様より、それぞれの立場から両事業の必要性やさらなる事業の推進と早期整備について要望をいただいているところであります。
⑷財政の健全化
 これまで説明申し上げた事業を含め、本町で予定されている全ての事業は、町の最上位計画「第6次矢吹町まちづくり総合計画」に位置付けられており、議会の議決を受け策定されております。言い換えれば総合計画に位置付けられていない事業は実施できないことは言うまでもありません。
 特に、事業費の大きい重点プロジェクト等の推進にあたっては、地方創生等の国の施策や国の補助制度等の有利な財源を最大限に活用し、町の負担を最小限に抑制しながら、財政規律を確保していかなければならないと考えております。
 これまで本町では、拡大する行政需要や住民ニーズの高まりにより、多くの公共施設を整備してまいりましたが、人口減少や少子高齢化の進行に伴い、社会構造や町民の皆様の要望が大きく変化しております。
 今後、これまでに整備してきた260余りの公共施設やインフラ等が一斉に改修・更新時期を迎えることとなりますが、平成28年3月に策定した「矢吹町公共施設等総合管理計画」では、このまま公共施設等を全て保有し続けた場合、今後40年間で約970億円、年平均約24億円の更新費用が必要となり、これまでの年平均と比較しても約2倍になると試算しております。
 これらの課題解決に向け、本計画の基本方針では、「公共施設等の量・質の見直しを図り、ライフサイクルコスト・施設総量の縮減に取り組む戦略的な施設経営を推進し、町民ニーズに対応した施設サービスの持続的な提供を行う」こととしております。具体的には、「施設の長寿命化」、「施設の複合化と機能集約」、「効率的な運営手法」、「新たな事業手法の活用」、「組織体制の構築」の5つの柱に基づき推進することとしております。
 国では「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針」を策定し、これらの指針に基づく地方自治体での計画策定と公共施設等の適正管理に向けた事業の推進を図り、併せて地方自治体への財政支援の拡充を図っているところであります。
 具体的には、更新費用年平均額約24億円を1/2、否、1/3の額まで縮減し、いかに現在と同規模の財政を保つかであろうと考えております。その為には、施設の総量を1/2ないし1/3に数を減らし建設費を抑制すると共に、維持管理費を抑制しなければならないと考えております。また、建設にあたっては、国の有利な財源を最大限活用すべく、補助要件となる事業要件や事業年度、さらには補助金の嵩上げ要件等も注視してきたところであり、それらの結果を踏まえ、現在を適時と捉え事業の推進を図っているところであります。
 なお、矢吹駅周辺地区都市再生整備計画事業及び道の駅推進事業の推進にあたっては、事業進捗に併せた財政シミュレーションを策定し、財政状況を十分に見極めながら万全な進行管理に努めております。
 本町の財政は、決してワーストではありません。健全な財政であります。現在のシミュレーションでは、地方公共団体の財政状況を客観的に表し、財政の早期健全化や再生の必要性を判断する「健全化判断比率」については、今後、前段で説明した三大プロジェクトの事業を実施した場合でも、各比率が大きく上昇することはなく基準内であるとともに、地方債協議・許可制移行基準である18%を大きく下回る12%から13%台、また、将来負担比率も 90%台で推移すると見込んでおります。さらに、地方債残高につきましても平成29年度以降は、過去の事業の償還満了等により減少に転じるものと現時点では推計しております。これらの比率が示すように、町の財政状況は今後も健全性が維持されるとともに、将来世代へ の負担が増すこともありません。
 このように、今後のまちづくりの基盤となる健全財政の確保は最低条件であり、町の最上位計画「第6次矢吹町まちづくり総合計画」においても目標値を定め、計画的な事業の推進に努めてまいります ことを固くお誓いさせて頂きます。
⑸50年、100年後を見据えた「第6次矢吹町まちづくり総合計画」
 本町は、東日本大震災以降、「復興」「地方創生」と大きな課題に直面しておりますが、嘗て、ここ矢吹ヶ原は荒れ果てた原野でありました。
 ご案内のとおり、明治の頃、星吉右衛門翁は、水不足による長い日照りや凶作で貧困に悩む農民を見て、矢吹ヶ原を潤いある大地にするため「西水東流構想」を掲げ、日本海に流れる羽鳥の水を堰き止め、矢吹ヶ原まで引水する壮大な計画を立て、建白書として政府に申し立てをしました。
 時代は変わり、「西水東流構想」から約半世紀後の昭和15年、帝国議会において矢吹原 国営開墾事業が採択され、昭和16年に羽鳥ダムの造成が開始、本格的な矢吹ヶ原開拓が はじまり、昭和39年に工事が完成いたしました。羽鳥ダム・羽鳥疎水の通水が開始されると、一面の荒野であった矢吹ヶ原台地に約 1,600haの美田が誕生し、矢吹ヶ原台地は緑豊かな田園の地に生まれ変わり、多くの人が生活をする街になり、現在の矢吹町があります。
 このように、星吉右衛門翁は、まちづくりへの強い想いとリーダーシップ、そして長期的な視点をもってまちづくりを進め、50年後、100年後に花を咲かせました。
 東日本大震災及び原子力災害という1000年に一度とも言われる未曾有の大災害に見舞われた矢吹町が、将来に渡り持続可能なまちづくりをするためには、私たち、町執行部、議員は、長期的な視野をもって、多くの町民の皆様とともに幾多の困難をも乗り越えていかなければなりません。
 全国的に地方は厳しい財政状況が続くことが予測されますが、本町の地方創生は必ず成し遂げなければなりません。町民に寄り添った行財政運営は堅持しつつも「新たな矢吹町を創造していくこと」が町民の皆様の大きな幸福に繋がるものと確信しております。
 そのためにも、矢吹町においては将来を見据えた長期的な視点にたち、「全員参加で矢吹創生」を合言葉に、協働の理念のもと、町民、議会、行政が一体となったまちづくりに取り組み、愛着と誇りの持てる矢吹町の実現を目指してまいりたいと考えております。
 以上が議会において説明した意見書でありますが、町といたしましては、「矢吹駅周辺地区都市再生整備計画事業」及び「道の駅推進事業」という町の最上位計画「第6次矢吹町まちづくり総合計画」の重点プロジェクトに位置付けられた重要な事業を地方自治制度の根幹をなす議会制民主主義の中で、これまで通り、町民の付託を受けた議員の皆様からご意見を賜り、また、町民の皆様ともこれまで同様、意見交換の場を設けるとともに、事業の進捗状況に応じた丁寧な説明をしてまいることを固く約束し、今月のひと言と致します。

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