町長談話 令和7年9月号
町長談話
さて、今日は「さわやかな田園のまち・やぶき」の水田を支える水の話をしたい。
今年は、例年になく羽鳥の水が貯水量、そして供給見通し共に順調です。例年だと稲作の出(しゅっ)穂期(すいき)(受粉期で最も水が大事)にも水が不足しがちだが、今年は大事な時期に上流から下流まで順調に供給される見込みである。これは偶然か。いや、そこに適時の雨だけでない諸要因がある。その努力の一端を記したい。直面した羽鳥疎水の課題 一昨年、雨が降らない、羽鳥の水が来ないと、連日テレビで日照り(天災の面)危機が放送された。しかし、地元の矢吹原土地改良区(私が理事長)では、天災でなく施設と運用の課題も大と捉え、羽鳥疏水のバックボーンたる農林水産省国営事業の施設と運用の課題を摘出し、どう具体的に改善するかレポートを作成した。国会議員と農水省説得の武器の準備を、私から指示したが、事務局長以下がこれに見事に応え、件のレポートは関係者から激賞された。
例えば、❶国営事業の施設、特に隈戸送水路のパイプライン(漏水事故の危険性が高い水路)が、原因は不明であるが頻繁に破損し、農業用水が噴出。近傍の東北本線や国道4号線も止めかねず、農家待望の春の通水が困難化、田植えは無理かと懸念される事態が度々起こる。
また、例えば、田植え後も、❷出穂期(8月初前後)に十分な水を供給可能かはお米の出来(質と量)に直結するが、この時期にも羽鳥の水が断水に瀕する危機が頻発し、皆が肝を冷す。この実態と課題、その解決策を詳細にレポートした。
また、情宣対応として、羽鳥の水問題が日照り等の天災だけでなく、ダム等施設の多面性と運用等の課題に関わる実態を、地元紙により「羽鳥の水と農業の危機的状況」の趣旨で大きな特集記事として客観的に報道・解説され、この問題の関係者と地元の理解が深まった。羽鳥疎水の課題を解決するための対策と事業及び予算の工面等羽鳥の水は積雪と雨水次第で、人間の対応には限界がある。いっそ、矢吹の夏祭りに皆で雨乞い踊りでもするか?と考えたが、神頼みでなく水確保の具体策が必要。何ができるか。
例えば上記❶問題の漏水事故の危険性が高い水路の切替え、改善策をどう考え、予算をどう工面するか。
❷羽鳥ダムの貯水・取水能力の改善が可能なら効果大。解決策に悩んでいると、羽鳥ダム底の大量の堆積土砂がダム導水路を塞いでおり、取水の妨げになる実態が判明。その土砂の浚渫で取水能力は確実に改善する。この堆積土砂の浚渫で約5%(約5日分)程も通水を伸ばせる計算が立つ。地域の水害リスクを回避しつつ、同時に取水能力の向上が可能と見込んだ。「天の時、地の利、人の和」が揃う奇跡。関係者に深く感謝通常、国営事業を町や土地改良区サイドから改善に持っていくのは大変ハードルが高いが、これを実現するために、国会議員と農林水産省を動かすべく、具体的な改善策を提示した。
まず、国の農水本省の幹部や国会議員の先生方を動かすには、やってもらう事業の根拠と論理の明確なレポートが不可欠。これは、私の前職で長年、中央官庁や国会議員に対する働きかけを行って様々な制度や予算獲得に関わった経験から、キーマン等説得の重要な段取りと確信し、土地改良区の事務局長以下と町職員に苦労かけて準備してもらった。
長年の懸案を進めるには「天の時、地の利、人の和」が揃う「奇跡」が必要だが、この時に動いて頂いたのが、県内出身の衆参両院の国会議員の先生方であり、特に地元と隣接区選出の先生方には大変お世話になり、羽鳥の水の恵みを受ける地域は感謝、感謝と思います。
また、農林水産省の課長、課長補佐以下の幹部、農政局、そして県の関係者の皆様が土地改良区事務所に一同にご参集頂き、矢吹原土地改良区と町と普通では考えられないスピード感で協議、実現して頂いたことに深く感謝したい。この精鋭が揃い、短期的にできること、中長期的にやること、予算をどうつけるか等の方向性まで一気に詰めて頂いた。
後日、先の❶❷の事業に国の予算(推計4億円程)が付き(町、土地改良区の負担無し)、❷羽鳥ダム底の土砂浚渫事業は完了❶隈戸送水路パイプライン(漏水事故の危険性が高い水路)の改善強化事業もほぼ完了。この10~20年来、殆ど進展無かった国営施設の喫緊の懸案がほぼ解決した。誠に希有なコトと思う。
今年は、例年になく羽鳥の水が貯水量、そして供給見通し共に順調だが、国、県、町、土地改良区等関係者によるこれらの努力によるところ大であり、深く感謝致します。
農家の皆さんが安心して営農を継続し、「さわやかな田園のまち・やぶき」の美しい田園風景を未来に引き継ぐため、引き続き関係者の皆さんのご協力をお願いいたします。
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- 【更新日】2025年9月12日
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