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町政情報

平成30年4月号

「麗しい春4月の歳時記」


 春よ来い、早く来い・・・。そして、春風に乗って春がそこまでやっと来た。厳寒の長い冬も去り、ようやく、待ちに待った春がやって来る。春分の日を間近に控え、風と雨と晴れ日を繰り返し、一雨降るごとに暖かさが増しているが、ここ2、3日は、急に北のシベリア寒気団が南下する
「寒の戻り」で、朝夕の寒さは厳しくもある。
 話しは変わりますが、最近頓(とみ)に、四季のある豊かな自然を誇る日本が気になりだしている。古来日本人は、自然に寄り添い季節の移り変わりを敏感に感じ取りながら、様々な行事や風習を生み出し、伝え、また、生きてきた。
 今月の私のひと言は、そんな4月の日々の歳時の意味や行事の由来、その時々の話題について、二十四節気、七十二候に基づき書いてみることにする。
 ご存知の通り、4月の別名は「卯 月(うづき)」。卯月は読んで字の通り、卯の花(ウツギ)が咲く時期であることから、この名が付いた。他にも驚くほどの別名がある。調べていて 意外というか、「麦秋」がこの時期を表わす言葉であることを初めて知った。4月は桜に代表されるように、この時期花々が咲き揃い、陽気に恵まれる時期。暑さが止む旧暦9月( 10月)と並んで、「頃は三月夜は九月」と称され、一年中で5月と並んで気候が良く最も過ごしやすい時期でもある。
 さて、4月といえば新年度のスタート。
 まずは「春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)」という言葉を紹介する。のどかに吹く春風を感じながら、何となくこのせわしない時期に、せめて気持ち位余裕をもって大らかにいたいといったことを表わしている。
 次に夜明けの呼び方について。夜の明けていく呼び名に様々な呼び方があることを皆さん知っていますか。私も「曙(あけぼの)」「暁(あかつき)」位は知ってはいたものの、「東雲(しののめ)」が、夜明けを意味する言葉とは知らず、さらにこれらが夜明けの時間の経過に伴い呼び順があることを知って、さらにビックリ。その順序とは真夜中から順に「暁」~日の出前の仄暗い時刻頃、「東雲」~夜明け前に空が茜色に染まる時刻頃、そして「曙」~太陽の昇る明け方の時刻頃を呼ぶのだそうだ。枕草子の「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは・・・」また、「春眠暁を覚えず」などは、これらを知る前と知った後では、感慨も一入(ひとしお)といったところか。
 次は、二十四節気の第5番目「清明(せいめい)」について。清明とは「清浄明潔」の略語。清らかで明るく、生き生きと美しい状態をいう。
 また、清明の期間の七十二候のうち、初候は「玄鳥至(つばめきたる)」。次候として「鴻雁北(こうがんかえる)」といって雁が北へ渡り、末候「虹始見(にじはじめてあらわる)」等の言い表し方がある。
 次はやはり、この時期を代表する桜の話題2つ。はじめに桜は、中国から渡ってきた梅などの花木とは違って、日本土着の花木であり、そうしたこともあってか、日本人の桜の花への愛着心は古今東西を通じ尋常ではなく、俳句や和歌の題材として多くの俳人や歌人、はたまた農民にも愛されてきた。
 晩年の西行が詠んだ「願わくは花の下にて春死なんその如月の望月のころ」や、良寛の「散る桜残る桜も散る桜」が私は好きだ。
 桜の語源は、日本神話に登場する女神、「木花之佐久夜毘売(このはなのさくやひめ)」の呼び名に由来するという説、また、「美しく咲く」という意味の「咲麗(さきうら)」から来たなどの説がある。二つ目には、昨日のTVで、桜前線北上の話題がニュースとして流れていたが、桜前線の北上のスピードについておもしろい話題を提供したい。「桜は赤ちゃん?」。何のことかと思いきや、桜前線が北上するスピードは、だいたい赤ちゃんがハイハイするくらいの速さで、およそ時速1.0キロとのこと。
 次に、この言葉、「山 笑う(やまわらう)」。「春山淡冶にして笑うが如く・・・」。古代中国の 画家の言葉に由来するという。この時期、私たちの目に飛び込む山野の景色は、ほのぼのと緑の濃淡に色づく春の山。冬の、寒々しい色の山の景色から徐々に色づく景色は、春の訪れと同時に微笑むかのようで美しい。因みに、夏は「山滴る(やましたたる)」、秋の「山装う(やまよそおう)」、冬は「山眠る(やまねむる)」とある。
 そして、二十四節気の第6番目の「殻雨」。作物に欠かせない「うるおいの雨」につい てだが、「木の芽起こしの雨」に始まり、花の開花をうながす「催花雨」、そして「花散 らしの雨」が降れば、百穀をうるおし、田畑を濡らして芽を出させる時期をいう。
 七十二候の初候では、「葭始生(よしはじめてしょうず)」、葦が芽を吹き、次候では「霜止出苗(しもやんでなえいず)」、霜が終わり稲の苗が生長する。末候では「牡丹華(ぼたんばなさく)」などの美しい表現もある。
 このように美しい季節を迎える4月。長い冬を越え、誰もが望んでいた春4月。春、夏、秋、冬の美しい四季の変化を感じ、それを受け止めて日々を暮らす日本人の私たち。私たちは暦に刻まれた季節を表わす言葉や行事から、先人たちが日々をどんなふうに感じ、楽しみ、大切にしてきたかを感じとることが出来るし、感じとらなければならないと思う。忙しく今を生きる私たちの役割は、古来、私たち日本人が大切に守り続けてきた暮らしの歳時を忘れることなく、次の世代に引き継ぐことにあると思う。そんなことを思いつつ今月の私のひと言とします。

 

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