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町政情報

平成30年11月号

「台風あれこれ」

 或る日、ふと新聞のタイトルが目に留まった。10月14日付の新聞記事のタイトルは「相次ぐ異常気象」。2018年の夏は記録的な猛暑や豪雨、度重なる台風の上陸等に見舞われた。
 特に、猛威を振った台風7号は、梅雨前線の影響と相まって、記録的な豪雨により、西日本を中心に、北海道地方など、全国広い範囲で甚大な被害をもたらした。
 ところで、私たちは、身近で、時には牙を剥く「台風」について、どれだけ正確に理解しているでしょうか?
 例えば、何故台風と呼ぶの、由来は、語源は、また、台風の名称、強さ、大きさ等々、知らないことばかり。今月は、この台風について、書き進めてみたい。
 まずは、台風の定義~ 台風とは、北大西洋の南西部に発生し、北上して日本や東アジア等を襲う暴風雨。熱帯性低気圧で、最大風速が毎秒17.2m(時速約60km)以上に発達したものをいう。なお、発生する地域によって、呼び名も変る。東南アジアから東アジア及びその近海に中心が存在する熱帯低気圧を「台風」と呼ぶ。また、台風と同規模の熱帯低気圧で、北インド洋と南太平洋に存在するものは「サイクロン」と呼び、そして、北大西洋と北東太平洋の熱帯低気圧のうち、最大風速が毎秒32.7m以上のものを「ハリケーン」と呼んでいる。
 それでは次に、語源と由来~ 台風を古来、日本では、「野分(のわき)」と呼んでいた。気象用語としては、当初、風速毎秒32.7m以上の強風を「颶風(ぐふう)」と呼ぶのが一般的でしたが、明治時代末に、当時の中央気象台長岡田武松が「颱風(たいふう)」を使い、当用漢字が定められた1946年以降は「台」の字が代用され「台風」となったとある。また、「颱風」の正確な語源は未詳であるが、次の諸説が有力とされている。
1.台湾や中国で、激しい風のことを「大風(タイフーン)」といい、それがヨーロッパ諸国で音写され「typhoon(タイフーン)」となり、それを「颱風」という字に当てはめた説。
2.アラビア語で、ぐるぐる回る意味の「tufan(ツーファン)」が、「typhoon」となり、「颱風」となった説。
3.ギリシア神話の風の神「typhon(テュフォン)」が「typhoon」となり、「颱風」となった説。
 次に、台風の呼び方と名前~ アメリカのハリケーンには「カトリーヌ」や「パトリシア」などの人の名の「リスト方式」と、日本では、「台風○号」と数字で呼ぶ「番号方式」が一般的。
 まず、日本の「番号方式」は気象庁が、毎年1月1日以降、最も早く発生した台風を「1号」とし、以後、発生順に付番。
 次に、「リスト方式」については、日本、アメリカ等14カ国の気象機関で構成する「台風委員会」で、予め決めておいた台風の名前リストから、台風の発生順に名前を選んでいく方式をいう。
 「年次リスト」で有名なのは、北大西洋のハリケーンの名前のリスト。ハリケーンの名前は、そもそも、アメリカの海・空軍の気象学者が、恋人や奥さんの名前を付けていたのが始まりで、以後女性の名前が付けられていた。現在は、男性と女性の名前が交互に用いられている。なお、「番号方式」を用いる日本でも、インターネット等の情報に( )付で「リスト方式」で選ばれた名前も併用されている。因みに今年発生した台風7号は「プラピルーン:雨の神の意」。
 命名される名前は、動植物や地名等が多いが、その中で、アメリカは勿論、男女名。そして、日本は全て星座名であることを初めて知った。
 そして、最後に、台風の規模の表現~ まずは「hPa(ヘクトパスカル)」とは気圧の単位。以前、日本では「mbar(ミリバール)」を、1992年から国際基準に合わせて「hPa」を使用。「人間は考える葦である」の名言を残し、また、「パスカルの原理」を発見したことでも有名なフランスのブレーズ・パスカルの業績を称え、1971年から「Pa(パスカル)」を使うようになり、「hPa」と表記。真ん中の大文字「P」を使うのもパスカルの名前に由来。この数値が低いほど台風の勢いは強い。
 次に、台風の「大きさ」、「強さ」についてですが、気象庁は、台風の勢力を示す目安として、次のように表現。「大きさ」は、域内で、風速毎秒15m以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲の半径で、「強さ」は最大風速で区分し、さらに、風速毎秒25m以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲を暴風域と呼ぶ。
<大きさの階級分け>
 ・台風 500km以下
 ・大型の台風(大きい) 500km以上~800km未満
 ・超大型の台風(非常に大きい) 800km以上
<強さの階級分け(最大風速 毎秒)>
 ・台風 17.2m以上
 ・強い台風 32.7m以上
 ・非常に強い台風 43.7m以上
 ・猛烈な台風 54.0m以上
 なお、歴代台風の気圧の低さランキング第1位は、1977年 沖永良部島(鹿児島県)で発生した「沖永良部台風」の「907.3hPa」。また、昭和の三大台風と言われる、伊勢湾台風は929.9hPaを、室戸台風は911.6hPa、枕崎台風は916hPaを記録。世界に目を移せば、1979年、東南アジア地域で発生した台風名「チップ」は870hPaの最強を記録。また、アメリカ観測史上最大級の被害をもたらした超大型ハリケーン「カトリーナ」は902hPaを記録している。
 次に、風の強さ、最大瞬間風速(毎秒)のランキング第1位は、 1966年 宮古島(沖縄県)で発生した「第2宮古島台風」の「85.3m」。大被害をもたらした今夏の台風7号は最大風速毎秒35m。この風の強さは、想像すら出来ない。
 ここまで台風のあれこれを書かせて頂いた。今までも、これからも台風の脅威は避けて通れない「台風王国日本」。
 毎年平均25~6個が発生し、そのうち毎年平均2.7個が上陸する台風。特に今年は、5個の台風が上陸した。地震、台風等の自然災害の脅威から自分の命は自分で守る。もう一度災害に備え、あらためて家の内外を点検し、非常用品、避難場所の確認を怠ることのないようお願いし、今月の私のひと言とします。
 

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