平成26年10月

「共に夢を追い続けよう」

「錦織、96年ぶりの全米4強!」、さらに「錦織、日本人初の決勝進出!!」。新聞の活字が躍り、TVは幾度となく、その快挙を伝えた。まさに、日本中がその戦いぶりに沸きに沸き、その勇姿に驚嘆し、彼に最大限の拍手と賛辞を贈った。

しかし、誰が予想出来たのだろうか。この快挙を。

8月初旬に右足親指を手術したばかり。それだけに、本人はもとより、コーチ、スタッフ等の関係者も、今大会での活躍は予想出来ず、“期待も希望もなかった”とコーチに、“誰もが決勝に行くとは予想していなかった。僕さえもね。”と本人に言わしめたことでも顕かだ。だが、快挙の予感はあった。彼の最近の目覚しい活躍ぶりを知るからだ。記憶に新しいところでは、昨年5月のマドリッドオープン、また、今年3月のソニー・エリクソンオープンと二度に亘り、あのフェデラー選手を破ったことで一気にその可能性が増していた。

世界のテニス界でトップに君臨することは、容易ではない。対戦相手を見てつくづく思う。誰もが感じているように、今やスポーツ界の大型化は顕著だ。178cmの彼も決して小さくないが、対戦相手は190を超える大男ばかり。如何ともし難い体格差をものともせず、世界では日本人は通用しないといわれたテニス界でトップを極めようとする。それだけに、彼の存在、そして今大会の快挙という時間を一(いつ)にできたことを素直に大喜びしたいし、同じ日本人として誇りに思う。同時に、でも「大変だったろうな」と思う自分がいるのも事実。彼の胸中をそう易々と推し量れるものではないが、たぶんこう思う。

或る日、テニスと出合う。小さな頃は、ボールを打ち、追いかけるだけでもテニスが楽しかった。楽しいから夢中になった。いつからか、本人も周囲の人間も、彼の才能に気付く。もっと上手になりたい。いつしか、もっと恵まれた環境でテニスがしたい、世界で活躍したいとの夢が膨らむ。その思いがさらに彼の才能を磨き、更なる高みに押しやる。そして、13才で単身渡米。こうして、彼の輝く未来の扉は開かれたのだろう。

こんな風に考えることは簡単。こうして書くことも簡単。だが、言えることは、これまでの彼の道のりは、とても辛い、厳しいものであったろうことは、想像に難くない。悩んだろうし、テニスを諦めようと思ったこともある筈だ。年若い彼が、遠い異国の地で、何を考え、何を頼りに挑み続けることが出来たのか、その困難な高い壁をどう乗り越えることが出来たのかを、私は知りたい。でも、悟ったのでしょうね。偶然なのか、考えに考え抜いてのことなのかは、本人に聞かなければ分からないことではあるが、きっと、彼は「自分自身を意欲的に変え、改善しようとする人間は、明確に設置した目標の達成に、決して諦めようとしないし、失敗したりはしない。」ことを。また、「周囲の人たちからすれば、とてつもない夢や目標であっても、精神的・肉体的な改善が実行できた時に、まさしく、最良・最大の結果が得られる。」のだという、「意思」「思い」を明確に持ち得、自覚し、体現できたのだと思う。

また、こんなことも頭に浮ぶ。我慢というか、私たちには窺い知れない自己犠牲もあったことは疑いない。遊びたい盛りの思いを我慢してテニスに明け暮れ、異国の地での寂しさに耐え、英語も話せず、友人もなく、頼れる人も数少ない。好きなテニスも厳しい競争の毎日。何よりもテニスに明け暮れる日々は、その世代の特権である「青春」を謳歌する時間を奪ったに違いない。しかし、彼は揺るがなかった。あらゆる誘惑、恐怖、不安や過度の期待のなか、彼が持ち得たその気高い思いは、自分の心をコントロールし、その強い信念と勇気によって、常に「夢」を見続け、内在する弱い心と体を見事に克服し、今回の偉業を達成したのである。日本中を歓喜に包んだ彼は、戦い終えた後、こう語った。“悔しすぎて、呆然としていた”、“1回目の決勝は難しかった。これが当然にならなければいけない”と。

今大会、彼にとっては最良にして、最大の「夢」を掴めなかった。彼は自分の弱さを知った。自分の弱さを知ったが、「強さは、持続的な鍛錬によってのみ開発される」という真実を知る彼は、今後も更に努力に努力を重ね、忍耐に忍耐を重ね、弱点の強化に強化を重ねることで、極めて近い将来に、素晴らしく強い、そして彼の夢である、「世界のトップ」に昇りつめてくれるであろうことを強く強く確信する。

早く見届けたいものだ。全ての日本人の思いだろう。13才で渡米した錦織少年は、日本のみならず、アジア男子初のファイナリストまで漕ぎつけた。百年に一人という類い稀な才能を持つ彼が、世界一の優勝カップを手にし、新たな、大きな歴史を作る瞬間を見届けたい。

繰り返す。その日は近いと。

私たちは大きな夢の実現の可能性を彼の姿に見た。私たちにも夢がある。私にも、あなたにも夢がある。夢の中身はそれそれ違っても、私たちは努力する彼を見倣うべきだ。夢を諦めず、共に夢を追い続けることを念願し、ペンを置く。

矢吹町長 野崎 吉郎

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