平成29年3月

新年度を迎えるに当り

 去年(こぞ)今年(ことし)、正月の余韻に浸る間もなく、気付けば2月も残り僅かとなった。月日が経つのは、「三日(みっか)()ぬ間の桜」ではないが、本当に早い。日一日と過ぎゆく時を感じながら、こんな時、いつも決って脳裏に浮ぶのはこの文章だ。「月日は百代(はくたい)()(かく)にして、行かふ年も又旅人なり・・・」を。あらためて解釈を加えるまでもないが、敢えて書かせて頂くと、「月日というのは、永遠に旅を続ける旅人のようなものであり、来ては去り、去っては来る年も、また同じような旅人である。」と。過ぎ去った去年も、迎えた新年も、古来から時を旅する旅人の心境を綴った、俳人松尾芭蕉の「奥の細道」の書き出しに通ずるからであろうか。

時は過ぎ、間もなく迎える新年度。この時期、いつもの年同様に、期待と不安が心の中を占める。「さあ、また新しく始まる。心を引き締めて今年度も『大死(だいし)一番(いちばん)』、全力で頑張るぞ」と。今月号は、新年度を翌月に控えて、今の私の心境を普段目にしない様々な熟語、諺等を列挙しながら書き進めてみたい。 

 まずは、自分への戒めとして、「禍福(かふく)(あざな)える(なわ)(ごと)し」。いいことがあっても浮かれ過ぎず、悪いことがあってもくじけることなく、落ち込まずに「不動心」で事に臨みたい。

それには、まず、自分自身が「夜郎(や ろ う)自大(じだい)」、自分の力を過信せず、自分一人の力がいかにチッポケであるかを自覚し、事がうまく運んでも、自慢することはもってのほかである

ことを心に刻みたい。「二進(に っ ち)(さ っ ち)進も」いかない状況に陥ることもあるだろう。ただ、そのような時でも「大童(おおわらわ)」することなく「泥縄式(どろなわしき)」に陥らないよう対処したい。

 一方、今年の町づくりの考え方については次のように進めたいし、また、私の決意も述べたい。私たちが目指す町づくりは、一朝一夕に為せるものではない。まず、今こうして私たちが幸せを謳歌しながら暮らしていけるのは、先人のたゆまぬ努力のお陰でもあることを忘れてはならない。従って、今を生きる私たちが、まず考えなければいけないことは、事を為すに当っては、次の世代の最大幸福を願い、そして叶えることにある。

 そう、この言葉だ。「前人(ぜんじん)()を植えて後人(こうじん)(りょう)()」の思いの中で、日々精進したい。焦らず、じっくりと、しかも、確実にだ。「急せいては事を仕損(しそん)じる」は自明の理。この際、「(む か )

()草履(ぞうり)(はか)す」のような辛抱強い覚悟も当然必要になってくるし、また、こうも考える。功を焦る余り、「(あぶ)(はち)取とらず」になることは何としても避けねばならず、「()()りて(うお)(もと)む」ことになってもいけない。事を為すに当っては、焦ってはいけない。「成功に近道なし」「成功とは、積み重ねのある成果である」ことは明々白々。勿論、「乳母(おんば)日傘(ひがさ) 」「長幼之序(ちょうようのじょ)」を忘れずに、さらに「親(町民)の意見となすびの花は千に一つも無駄がない」を肝に銘じ、今進めている「催合(もやい)」の心の輪を広げたい。

 平成29年度は復興期間の最終年度。復興は、確実にその歩みを強めていると確信する。復興を成し遂げ、「発展期」を見据えた町づくりの正念場、それが平成29年度。現在、懸案事項一つゝに明かりが灯ってきたことも実感している。「稼ぐに追いつく貧乏なし」だ。時には、「側杖を食う」こともあるだろう。しかし「酢の蒟蒻の」と言っている場合ではない。「催合」の精神で町民こぞって事に当れば、「正直の頭に神宿る」にある通り、当町の新年度は、必ずや「有卦に入る」であろうと確信するし、そう願っている。町民こぞって、新年度も「万里一空」を求めていきたい。

 「時分柄」、まだまだ寒い日が続く。夜も明けようとしている。窓から見える「暁月夜」が美しい。そして「草目萌動」頃を迎えた。春はもう少しだ。

 書き終えて、また思う。日本語の魅力についてだ。私たちは、日本人。日本の「ことば」という文化を次の世代に託すことも私たちの役割。日本の美しく、ちょっぴり難解な「ことば」にあらためて感動しながら、今月の私のひと言とする。

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