令和元年9月号

「助数詞って何?」

 或る本を手にした。本のタイトルは「日本の助数詞に親しむ」(飯田 朝子著:東邦出版)である。助数詞と聞いてすぐにピンとくる人も少ないのではないかと思う。私もその一人だ。そこで早速「助数詞」について調べてみた。定義はこうある。「助数詞は数を表わす語の後ろに付けて、どのような事物の数量であるかを表す語要素である。」と。はっきり言って意味不明。もう少し分かり易く、手にした本の内容を紹介しながら説明していきたいと思う。
 さて、私たちは、物を数えるとき、数だけ使うのではなく、数の後ろに“ことば”を付けて表現している。例えば、犬・猫を二頭・二匹、魚を一匹、鳥を一羽などと表現する。普段当り前の様に使用しているこうした助数詞。さて一体何種類あると思いますか。この本によれば約500種類の助数詞があると言い、現在、私たちの日常生活では約120種類程が使われていると言う。そこで、それぞれの対象物によってどのように助数詞が使われているか代表的なもの2つについて、書き表してみる。
 はじめに「人」の数え方について。
 人の数え方には、「人」、「名」、「匹」、「個」、「者」がある。まず、人を数えるとき、日本語では「一人、二人、三人」のように、助数詞「人(にん)」で数えるのが基本。読み方は「ひとり、ふたり」と大和言葉が使われる。古くは「三人」以降も「みたり、よたり、いつたり、むたり、ななたり、やたり、ここのたり」と、人数が「九」になるまで「人(たり)」で数えたが、現代日本語では、「たり」を使うのは一人、二人のときのみで、三人以降は「さんにん、よにん、ごにん・・・」のように読む。また、「人」と並んでよく使われるのが「名(めい)」である。例えば、「今回の選挙には三名が立候補」などのように、「名」は、参加者・出席者・該当者など、ある決められた範囲の中で把握できる場合や、レストランなどで「一名様ご来店です」と、名前を知らない場合でも、お客様を「名があるもの」として、「人」ではなく「名」が使われている。さらに、稀に、動物同様「匹」を使う場合もある。例えば「男一匹」や「三匹の侍」のように使われる。これは、動物の「匹」を使うことで、人間離れした荒くれ者を印象づける効果を狙うためである。逆に、人間の尊厳を強調する場合には、「一個の人間として扱う」のように、人間を「個」で数える。「個」は「個人」、独立した己を持つという意味から稀に「自己」の「己」の字を当て、「一己の人間」と表現することもある。
 また、野球中継で、「この回は三者残塁、得点ならず」や、学校での「三者面談」、それぞれの立場の人を「三者三様」など「者」として使われる場合もあると言う。
 次は「動物」の数え方。
 動物の数え方の基本は「匹(疋)」、「頭(とう)」。まず、「匹」、「頭」の使われ方ですが、私たちは日頃、昆虫から魚類・両生類・爬虫類や哺乳類まで、小さな生き物は「匹」を、それに当てはまらない大きい生き物は「頭」と漠然と数えていますが、「匹」と「頭」の使い分けには歴とした境界線がある。日本語の専門家によるアンケートによれば、「匹」は人間より小さく抱き抱えられ、「頭」は人間より大きく自分では抱き抱えられないサイズにより線引きされ、使い分けているという。ですから、私たちは犬を一匹、犬を一頭飼っているという場合では、この助数詞により、犬の大きさが自ずと判断できることになる。
 では、いつから動物の大きさを基準にして、「匹」と「頭」を明確に使い分けるようになったのかだが、それは明治時代から。江戸時代までは、動物の大きさに関係なく「匹(疋)」で数えられており、古くは「源氏物語」や「今昔物語」にも、馬を「匹」で数える例があり、さらに、クジラでも「匹」で数えていた資料も残されている。
 「頭」を「とう」と読み、大きな動物を数えるようになった先駆けは、日本最古の近代動物園、上野動物園である。明治15年の開園時、動物の頭数を英語の「ヘッド」を直訳して「頭」を当てたとある。上野動物園では、生き物の大きさに関係なく、ゾウ・キリン・ライオンやパンダは勿論、小さなウサギ・ヘビ・チョウやカブトムシ・アリに至るまで、ありとあらゆる飼育生物が「頭」で数えられている。
 また、ペットの数え方ですが、ペットは、家族のように大切なことから「犬一匹」、「猫一匹」とは言わず、例えば年賀状などに「新しい家族が一人増えました」と、「人」を使い、人間と同じ扱いをしていることもある。同様に、チンパンジー・ゴリラでも、研究者たちは往々にして「彼」、「彼女」と表現し、人間同様に「一人、二人」と数えられている。
 この他にも、この本ではジャンル毎に様々な助数詞が紹介されている。その数なんと258種類。とてもゝ限られた紙面では紹介できないが、この本を読めば読むほど、数を数える言葉の奥深さと繊細さを感じることが出来る。今まで物を数える場合、漫然としかも単純な表現しか浮ばなかったが、この本を読んだことで、情緒溢れる、また古きを継承する日本語の面白味を再発見することが出来ました。これからもこの本で知り得た助数詞を生かし、数の楽しみ方を皆さんにも伝えていきたいと思いながら今月の私のひと言といたします。

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