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町政情報

平成28年3月

矢吹の大勢の「ブッフィエ」たちに感謝

“作業終了”の声。やっと終ったか。久し振りの労働。額の汗と共に、腕や足腰の疲労と痛みが気持ちいい。短時間でよく植え終ったものだと感じ入 る。大勢の力はこんなにも凄いものだと、あらためて思い知る。この事業の概要を区長会新年会の席で、大野康統会長から聞かされたときは正直焦った。不安が 頭をよぎった。人が集まるだろうか。やり終えるのだろうかと。しかし、これらは杞憂と化した。彼岸花の球根22,000球、花桃の苗木が140本。200 人を超すボランティアの「協働」の力は、これらの作業をたった2時間余りで全てやり終えたのである。近年、まちづくりは自分たちの手で、自分たちで出来る ことは自分たちでやろうと、町民有志が集まり各地区で多くのボランティア団体が活動されていることはご案内の通り。こうした動きが加速されるなかで、この 事業は計画され実施された。矢吹を花いっぱいにしたい。「矢吹花の森構想」をテーマに掲げ、去る2月7日、区長会主催の「(花の里やぶきづくり)大池公園 植栽・植樹事業」は、かつてない規模で開催され大成功裏に終えたのである。

これには、背景がある。町の財政だ。町の予算は有限。9年前、はからずもそれは露呈した。公(町)の及ぶ力は財政的に限界があり、住民ニーズの全てに応え ることが出来ないことは、今まで何度も話をさせて頂いてきた。公のあるべき姿を、そして活路をどこに、どんな形で見いだすのか。公の役割、民の役割をどう するのかの答えが、すなわち「協働」であり、住民参加、住民主導のまちづくりに行き着いたのである。協働のまちづくりと言っても、簡単に済む話ではない。 暗中模索。現在も試行錯誤の真只中。しかし、“光り”は確実に輝きを増しつつある。これまでに例を見ない、今回の「協働」による花の森事業をやり終えて確 信している。それと同時に、多くの町民の心の変化が大きく作用していることも見逃せない。全国各地でも、当町が参考とすべき、まちづくりの成功事例が数多 く紹介されている。

私も先進的な実践活動を視察するため、数多くの場所を訪れた。そこで気付いたことがある。数ある成功事例には多くの要因があることを。自然、歴史、文化、 芸術など。しかし、敢えて一つと問われれば、私はこう答えたい。それは“ヒト”であると。訪問先では多くのボランティアの“ヒト”が、まちづくりのために 知恵を出し、汗を流している。“ヒト”の熱意と力の結集は、これほどまでにまちの姿を変えられるものかと、つくづく思った。そして、必ずその集団の中に “キーパーソン”が居ることに気付くのである。

或る本を読んだ。こう書かれていた。「どんなまちづくりでも、最初の一人が実践行動をしなければ始まらない。」と。また、こんな話も紹介されている。

 「南フランスのプロバンスで、ブッフィエという男が荒れ地に、一人で黙々と木を植え続け、ついに広大な森にしてしまった『木を植えた男』という 有名な話がある。かつての豊かな森を人間が壊した。そこでブッフィエは50歳を過ぎて、荒れ地に木を植えることを決心する。一人黙々と木を植える。二つの 大戦を超えて続けた結果、まるで自然の森のようになる。水の流れも復活し、一時は廃墟だった村も蘇り、人の笑いさざめく活気ある土地になる。蘇った村で、 ブッフィエは87歳で安らかに息をひきとった。」と。これはフランスの有名(私はこの本を読んで初めて知った。)な作家、ジャン・ジオノが「リーダー ス・ダイジェスト」誌に掲載した話である。

この話を町民の皆様に伝えようと書き綴っていて、ふと気付かされた。この話と同じように、私たちの町にも、身近な存在として「矢吹のブッフィエ」が居たこ とを。かつて、矢吹は水不足に悩む町であった。豊穣の大地を夢見、生涯を捧げた人間が、この矢吹の地にいたことに気付いたのである。「星吉右衛門翁」その 人である。当時、誰もが考えつかない「西水東流」の建白書を明治政府に提出。日本三大開拓地と称される肥沃な大地に今を生きる私たちは、その功績を讃えず にはいられない。そして、星翁のDNAは、確実に私たち矢吹町民一人ひとりに等しく、確実に受け継がれているものと確信している。現在、そのDNAを見事 に体現している多くの「矢吹のブッフィエ」が大勢いることも忘れてはならない。そんな「矢吹のブッフィエ」を紹介する。

 行政区を引っ張る二区行政区の皆さん。ボランティアの草分け的な存在感を放つこうすっぺ西側イメージアップ作戦の皆さん。やぶき遊・ゆうライフ クラブの皆さん。一区行政区、三区行政区の皆さん。三城目行政区、須乗行政区の皆さん等々。他にも多くの皆さんが、まちづくりに参加して頂いている。あり がたいことだ。

今回の行政区主体の「大池公園植栽・植樹事業」は、協働のまちづくりを標榜する矢吹町の新たにして大きな足跡を刻む出来事となった。まちづくりにかける思 いは様々であるが、その原点は「まち」を愛する心であると思う。まちづくりを楽しみながら、人と人の出会いがあり、まちを元気づけることにつながり、携わ る人々の人生を豊かなものにする。今回のイベントの参加者の心の中をのぞくことはできないが、きっと、こんなことを考えていたに違いない。

 “今やらずしていつやるのか。我やらずして誰がやるのか。”と。

未来との対話でもある協働のまちづくり。自然豊かなこの町の発展を信じ、そして次の世代へ繋げていくという大きな役割を私たちが担っていることをもう一度確認し、そして忘れてはならない。 

矢吹町長 野崎吉郎

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