平成25年6月

「風薫る5月が好きだ」

 5月~風に爽やかな薫り、日差しは少し汗ばむくらいで心地良く、草花にせよ、鳥とか昆虫とかにせよ、3月、4月にはなかった躍動感あふれる5月が私は好きだ。4月の桜花も美しいが、むしろ私は、草花や花木が花開き、蝶や蜂が乱れ飛び、足元を見ればアリや小さな虫たちがせわしげに動き、鳥がさえずるこの季節が好きだ。遠くを見渡せば、あたり一面の田んぼの早苗が風になびき、山々は幾重もの濃淡の緑が萌える。

 春から初夏に移っていくところのやわらかさ、うるわしさを感じることが出来るこのときが好きだ。

 自慢出来るほどでもないが、我家の庭でも今の季節を楽しめる。今は、ピンク・赤・白・黄のボタンの花が満開である。2日前の雨が降り出す前に、花が傷むのではと支柱を立て、4本の傘で保護。その甲斐あって、その後の雨に打たれることなく、今も見事に咲き競っている。

 ボタンの前に花開いたのは菖蒲とチューリップ。チューリップの見頃は終ったが、菖蒲の花は未だ健在。母たちが花を切り取っては部屋に飾っている。無作法だが、花があるだけで何となく心が満たされる。そんな5月も半ばを過ぎた。季節を彩る催しも町内外で開かれた。G.W(ゴールデンウィーク)の5日は、平田村に足を運んだ。ジュピアランドひらたで開催された「芝桜まつり」に招待されたのだ。蓬田岳山麓に広がる芝桜は、満開とまではいかなかったが、1.4haの敷地内に、赤・白・ピンクの芝桜14万株の景観に、誰もが目を奪われた。今回で3度目の訪問だが、オープンセレモニーが挙行された日ということも手伝って人出も最高。景色よし。空気よし。日差しは強かったが、5月の蓬田岳の風は爽快だった。

 9日には、町内で催された町みどり盆栽会主催の「春の山野草展」に足を運んだ。季節毎に年4~5回開催されている。今年も初夏を彩る丹精込めた作品が、会場に多数展示された。野道を歩いても注意しなければ見落としてしまいそうな、小さく可憐な草花。ここ数年、こうした展示会にも顔を出しているからだろうか。作品の良し悪しなど、多少趣を感じることは出来るが、出展者の心境には、なかなか入りこむことは叶わない。日本人の美意識が集約されたかのような作品の数々であった。

 15日には、須賀川牡丹園の園遊会に招かれ足を運んだ。毎年招待されてはいたのだが、出席叶わず、今回初めて出席した。東洋一の規模を誇る牡丹園の花々。何度足を運んでも、その美しさに息を呑む。約240年前に薬種として取り寄せ植えられたことに始まる牡丹園。約290種、7000株の色とりどりの花々は、まさしく東洋一美しい。緑の草花、花木に囲まれ、自然と共にした暮らしが当然だった時代につくられた庭園が、今もこうして現存する。

 私たちの世代も身近な自然の生物を愛し、守り育てていく心をもち続けなければならないと、そこに居合わせて思った。

 今、少しでも時間があると外に出る。5月のうららかな陽光の空間の中で、勝手に5月5日に1歳の誕生日のお祝いをした子猫の「チビ」を膝に乗せ、ゆるやかな時の流れを楽しんで過ごす。庭のボタンの花が、菖蒲の花が、フジの花も奥まった所で咲いているのが目に入る。ツバメも視界をよぎる。鳥のさえずりが聞こえ、木々の枝葉を揺らす。穏やかだ。ずっと続いて欲しいと願う。

 やっぱり5月はいい。やっぱりこの季節が好きだ。

矢吹町長 野崎 吉郎

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