平成23年2月

「坂の上の雲」に思う

 昨年末の12月。全4回に亘り「坂の上の雲」第2部が放送された。一昨年末に放送された第1部に引き続いての放送も素晴らしい内容だった。

秋山兄弟と子規と律。故郷松山から自分の夢を追い続ける為に、“東京に出たい“と言って東京で織りなす青春群像が第1部なら、夢と現実が交錯しながら、時代の趨勢と運命に流され、それぞれが違った生き方を歩き出した第2部。2部の詳細な内容を記載することをこの誌面では省くが、最愛の友の死と、悲惨な戦争という現実に向き合う姿に、町民の皆さんもTVの前で釘付けになられたことと思う。

 物語は、明治維新からたかだか40年余りの時代。国家の形を今まさに整えようとする弱小国家日本。10年余り前に日清戦争に勝ったとはいえ、何故また強大なロシアに戦いを挑むといった考えに至るのか。その時を生きた若者に、また「まっこと小さな国」にあのような、今では想像も出来ない大きなエネルギーがあったのか、今の時代に生きる私は、つくづく考えさせられた。

 長年、明治生まれの祖父母を見ていて感じてはいたが、TVを見て今さらながら明治を生きた人は凄いと感じた。家族を、友を愛し大切に思う心。国を案じ、守り、愛する心。しかも無償の愛。この愛に裏打ちされた日本人の美徳と誇り。物語では、国の威信を守る為に命懸けで列強に立ち向かう若者の志の高さに胸を打たれた。すぐに頭を過ったことは、私があの時代に生きていたなら、“彼らと同じように考え、行動出来ただろうか”と。“彼らと同じく「坂の上の雲」を目指して一歩を踏み出すことが出来ただろうか”と。

しかし、所詮それは無理なこととすぐに思い至った。かつて私も“東京に出たい“と言って東京に出た。30数年前のことである。“もっと勉強がしたい。人の為に、世の中の為に役立ちたい、一廉の人間になりたい“との思いからだ。一見、彼らとの「思い」の違いはない。が、しかし、根底にある「あるもの」の違いははっきりしており、その違いを認めるのに時間は要らない。この時代背景には、常に「死」と隣り合せという環境にあったこと、つまり、彼らには、その「死」を常に意識しながら生きるという違いに気付いているからでもある。今を生きる私に、そこまでの覚悟を持って生きることが出来るかと問われれば、即答出来ない自分が今ここにいる。

TVを見、考えなければいけないことは、こうした意識が、当時、一部の知識階級の人々に限ったことでもなく、また、この物語の主人公のみに限ったことでもないということであり、当時の多くの人々にはすべからく「同じ思い」を共有していたということに、である。つまり、「普通の人々」が持ち得ていたということに気付かなければならない。さらに、その「普通の人々」の一人ひとりが高い志を持ち、“自分たちが日本を守り、家族を守り、日本を作るんだ”という強烈な意識を持ち、“自分がやらなければ、自分たちが行動しなければ“と考え、自分の運命も、自分の置かれた立場も自らが切り拓き、進んで受け入れ、何事も他人事にしなかったということにも、である。

 物語は史実に裏打ちされた真実。私たちが学ぶべき事は多い。次回も目が離せない。

矢吹町長 野崎 吉郎

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