平成23年3月

「日本は世界5位の農業大国」

 実におもしろい本に出会った。「まさに常識の大転換である」と、この本の帯に書かれている。本の名は『日本は世界5位の農業大国』(講談社+α新書)。魅力ある記述は目からウロコ。今まで、目に触れ、耳に入るマスコミの論調といえば、「農業は3K(キツイ・キタナイ・カネにならない)」に代表される日本農業の危機が叫ばれ続けてきた感は拭えない。最近の世界経済の悪化に伴って、多少雇用の受け皿として農業への新規参入が注目を浴びつつあるものの、世論としては、日本農業に対する見方は冷ややかであるのが一般的であろう。この本では、「日本農業危機説」を真向から否定するに留まらず、「日本は既に農業大国なのである」と言い切っている。農業大国である所以は、国内の農業総生産額は約8兆円であり、これは世界第5位。先進国に限ればアメリカに次ぐ第2位であるとの解説でも頷ける。そうは言っても食料自給率は低く、しかも農家人口は減少し、さらに、農家の高齢化が顕著で後継者がいない現状をどう説明するのかといった疑問に対しても、この本は明快に解説している。

 まず、食料自給率41%は世界で最低レベルという論調に対しては、食料自給率の計算のカラクリについて、この本の中で詳しく述べている。多くの識者は、「国内産で賄える食料が半分以下では、万が一輸入がストップした場合に、国民の多くが飢えに苦しむことになる。」と語り、私もこの本を読むまではそう思っていた。この本の詳しい説明はここでは省くが、誤解を解く二つのことについて書き足す。一つは、スーパーに並ぶ野菜は大半が国内産であること。二つ目は、食料の輸入額はアメリカ、ドイツ、イギリスに次いで4番目であること。輸入大国と言われているが、仮に輸出入が「0」になった場合、極論だが分母と分子が一致し、自給率が100%になるとの説明には思わず唸った。

 本来、世界に誇れる技術と生産力を誇る日本農業を世界に発信せず、日本農業がいかにダメかを誇張する姿勢を厳しく指摘もしている。

 ここで、日本の農業の底力を表す数字を並べてみる。農産物生産高世界ランクである。ネギは世界第1位。ホウレンソウ3位、ミカン4位、キャベツ5位、キュウリ・イチゴ6位、米10位、その他の農産物も上位を占める。驚くべき数字である。

 次に農業人口の問題についてだが、農家が全人口に占める割合では、イギリス0.8%、アメリカ0.9%、ドイツ1.0%で、日本は1.6%である。農家人口の減少は特に驚くことでもなく、世界の潮流であり、また、日本の農家戸数200万戸の7%が1,000万以上を売り上げ、8兆円の生産額のうち60%を産出し、しかも過去5年間で130%の成長を見ている。経営規模の拡大も如実である。

 さらに、高齢化等についてだが、様々な事実が浮き彫りになる。農業従事者の約60%が65歳以上の高齢者。これも事実。しかし、20代のエリート農業経営者は全国に4万人。決して少なくない。高いモチベーションを持って農業に参入した人材であり、新規就農者は増加傾向にあり、30代は9万人、40代が12万人と世代を追うごとに数を増している。世代交代も順調に進んでいることを忘れてはいけない。

 最後にこの本の中で、「農業は成長産業が世界の常識」と題し解説しているオバマアメリカ大統領の言葉を紹介する。「私は自分がどんなに努力しても農業者にはなれそうもありません。(中略)大統領以上に複雑な仕事です。(中略)皆さんが家族を養い、地域社会を支え、世界の食生活に貢献しているから本当に素晴らしい。」と。農家の皆さんにこの言葉を送り、今月のひと言といたします。

矢吹町長 野崎 吉郎

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