平成27年2月

「花燃ゆ」に思う

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」が、正月1月4日に始まった。吉田松陰、高杉晋作等の長州萩藩士が活躍した幕末から維新、明治へと時代を変えた若き志士の熱き青春群像、そして彼らと共に生きた、吉田松陰の妹「文」の生涯にスポットを当てたドラマだ。長州萩藩の下級武士の娘として生を受けた、このドラマの主人公「杉文」の生き様は、余りにも有名な松蔭や高杉等の志士たちと違って、史実に詳細な記述はないという。それだけに、敢えて女性の立場からの幕末、そして維新という激動の時代を見続け、明治、大正時代を生き抜いたヒロイン「文」のドラマの今後の展開が楽しみだ。主役を演じる女優は「井上真央」。小柄な体、額が広く、まん丸顔で、目の大きな女優。覚えている方も大勢いると思いますが、3年前の平成23年、NHK朝の連続TV小説「おひさま」の主人公「陽子」役を演じた女優でもある。笑顔が素敵な女優として印象が深い。なお、ヒロインが「井上真央」といった理由だけで、この誌面を書き進めている訳ではない。このドラマが始まったことで、頭に浮んだいくつかを皆さんにお話ししたい為に書いていることをまず皆さんに知って貰いたい。

一つには、2年前の会津を舞台にした、やはりNHK大河ドラマの「八重の桜」の「八重」と、どうしても比較してしまう私が居ることも否定出来ない。長州と会津、官軍と幕府軍、勝者と敗者といった構図は、両ドラマの放送間隔が短いだけに、NHKのドラマ制作者の意図を意識しない訳にはいかない。ただ、そうした意図を否定するものでもなく、甘んじてその意図を受け入れ、長州から見た幕末、維新、そして同時期に生きた「文」の生き様、また、彼女の目を通したドラマの展開を存分に楽しんでみたいし、見守りたい。

二つには、やはり吉田松陰の人間像を、このドラマを通して再確認したいが為である。維新の立役者であり、時代を変えるに至った彼の思想と行動を再びドラマを通して検証していきたい。松下村塾に学び、そこに名を連ねた、勤王の若き志士たちの心と体をどう揺り動かしたのかをだ。幼い頃から秀でた才能を発揮し、幕末の日本の行末を案じた幕末を代表する思想家、教育者であった松蔭。彼の考えや生き方を賞賛する書物は数多く、余りに有名なことから詳細な説明は省かせて頂くが、一方で、その後、折々に得た知識として、意外な松蔭の一面、例えば、深謀遠慮に欠けた人、激情の人でもあったと聞けば、また興味がそそられる。そのような一面もあったということが中々面白く、ドラマを通して確かめてみたい。

そんな維新の傑物「吉田松陰」を初めて意識したのは、いつ頃だっただろうか。中学生の歴史で名前は知っていたが、興味として思い抱いたのは、やはり20代後半だったと思う。その中でも、やはり一番印象に残ったことは、彼が処刑されるまでの僅かな時間で書き上げた「留魂録」の存在だ。強烈な印象だった。

“身はたとい武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂”

余りにも有名な松蔭辞世の句。

“至誠にして動かざるものは 未だこれ有らざるなり”

これは孟子の句だ。

この書の中の、この二つの句は忘れられない。

自分の年と重ね合わせて、松蔭という人間の偉大さ、思慮の深さ、知識の奥深さを知るにつけ、自分の心の弱さ、生き方を戒めたものだ。

そして、最後にもう一人。ヒロイン「杉文」の話に戻るが、「文」の人生に大きく関わる「小田村伊之助」にも少々触れたい。少女期の「文」が淡い恋心を抱く「伊之助」の存在を知ったのは、恥ずかしながら、初回のこのドラマを見てからである。楽しみは、今後の「文」の淡い恋心の行方と、「伊之助」の今後の活躍である。「小田村伊之助」の人間的魅力、業績を知れば知るほど物凄い。そうとしか表現出来ない。何故これ程の人物が、私の知識の器に入って来なかったのか、不思議でならない。このドラマで「伊之助」を知ったことは大きな収穫であり、この後のドラマの続きがまた楽しみである。

繰り返しになるが、このドラマがスタートするといった時は、長州贔屓の展開になるんだろうな…と、少々複雑な思いも抱いたが、考え直すことにした。初回のドラマの展開を見てそう決めた。

次回のオンエアを楽しみにしながら、今年一年の平穏無事を祈りつつ、今月のひと言とする。

矢吹町長 野崎 吉郎

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