平成24年9月

「ホタルの舞う土地へ」

 “自分の宅地の片隅に埋設して、本当に安全なのか?” “何故、町有地に仮置場を確保できなかったのか?” “他町村では既に開始しているのに、何故遅れているのか?” “宅地ばかりでなく、山林の除染を実施しなければ効果がないのではないか?” “本当に線量は下がるのか?” 等々。

 これらの声は、過日、町内2ヶ所で開かれた放射線除染事業説明会で発せられた声である。

 当然といえば当然の声。原発事故から早や1年5ヶ月余。進まぬ除染に、不十分な賠償。安全基準さえ明確に打ち出せずにいる状況への怒り、恐れと苛立ち。国・東電に対し、どのようにこの不安や不満をぶつけたらいいのか。様々な思いが、多くの声として発せられたのである。

 町としても、これら町民の切実な声を真摯に受け止め、町民の安全、安心な生活の確保のため、昨年から出来得る限りの手立てを講じてきた。昨年は、主に子ども達を放射線から守るために、校庭や園庭、そして通学路を除染。今年は、全町内の除染を網羅した「町除染実施計画書」を策定。比較的空間放射線量の高い町西側の二地区を重点的に実施することにした。

 しかし、いざ実施となると課題は多い。

 まずは、二地区合わせて約150世帯全てが、この除染事業に同意して頂けるのか。また、166千m2の広大な宅地面積の除染を年度末までに終わらせることが出来るのか。さらに、除染した汚染土壌等を埋設する仮置場を地区毎に確保出来るかである。このように心配は尽きない。

 しかし、ひるんではいられない。最善を尽くすのみである。

 除染事業説明会の帰りみち、旧広川牧場の近くの田んぼ道に車を止めた。10日程前に足を運んだ場所でもある。かつては、夏の夜、矢吹のどの場所でも、当たり前のように見られた“ホタル”を見るために立ち寄ったのである。何十年ぶりと言えば大袈裟だが、飛翔しているホタルを自分の目で確かめ、捕獲したホタルを手の平に載せた時の喜びと感動は計り知れない。もう一度その時の思いを味わいたくて、再度足を運んだのだ。暗闇の中に、何十匹、いや何百匹と光りを発し舞うホタルをまた見られた。

 或る本に書かれているのだが、ホタルは環境指標生物であり、自然豊かな、美しい環境にしか育たないという。矢吹にもホタルが光りを発し、飛翔している。本の中にはこうも書かれていた。ホタルは、一定量の放射線を浴びると発光器が破壊され、光りを発しなくなるという。つまり、矢吹の土地はホタルが生息可能な、自然豊かな美しい環境にあると。生息を確認できる場所は、まだ10数ヶ所。いつか、矢吹のいたるところで、ホタルが舞う日を心待ちしたい。

矢吹町長 野崎 吉郎

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